衝撃の船出

2003年10月27日より2回目のスペイン駐在が始まった。前回は、1983年4月から1985年4月までのまる2年である。それから数えて丁度20年ぶりの再駐在である。

これまでの短い駐在期間の中で起きたハイライトとしては赴任早々、“レアル・マドリッド“ の本拠地競技場となるサンチアゴ・ベルナベウ・サッカー場前の地下鉄駅構内で、”首締め強盗”にお目にかかった事だ。街中にウヨウヨいるとは聞いていたが、こんなにも早く、お迎えが来るとは思ってもいなかった。幸い身体への後遺症は無く(物忘れは以前からあったが、)日々、仕事に遊びに前よりも一層元気でやっているので心配には及ばない。

本創刊号では、海外における安全について再度認識することを趣旨に、新年早々ではあるが、敢えてこの貴重な体験を皆様にお伝えしたいと思う。11月2日、日曜日、事件の様子はこんな具合だった。。。

その日は先ず、ホテル近場から地下鉄を利用し、以前住んでいたアパートの近くにある地下鉄駅 Plaza de Cuzco まで辿った。そこは、20年前と殆んど変わらない佇まいを見せており、近くにはサンティアゴ・ベルナベウ・サッカー場もあり、その様子等を写真に収めながら少々昔の想い出に浸っていた。この周辺はサッカー開催中における騒音やコソ泥が多少気になったのと、たまにアパートに爆弾を仕掛けたという虚偽の脅迫電話があった程度で、特に強盗事件等はあまり聞いたことはなかった。

問題は、以前この街に住んでいたという “抜かり” の気持が潜んでいたことである。サッカー場周辺で写真を撮っているころからだと思うが、既に後をつけられていたんであろう。周辺の散歩も終わって2時頃になり、昼飯でもとりに中心街の方へ行こうかと地下鉄駅に入り改札口を通り抜け、ふと、人が全然いないなと思った瞬間であった。後ろから二人、ガッチリした感じの悪漢二人が急に近寄って来たかと思うと一人が突然、背後に回り私の首を強烈に絞めた。一瞬、“クッソー、これが 首絞め強盗かっー”、と悔やみかけた途端、私はその場で気を失い財布の入ったウェストバッグとデジカメを盗まれた。幸いにも、私はかすり傷ひとつ負うことはなかった。たぶん、私が何も抵抗できなかったのと(抵抗していたら、と思うとゾッとするが。)犯人共が私から奪取した金品に対しそれなりに満足したからなのであろう。

人のいない場所へは近づかない・周囲に気を配る、というこれまでの海外出張や駐在で当たり前のように遵守してきた鉄則が、 この街に以前住んでいたという “油断” の一言で、木っ端微塵に粉砕されてしまった。正に油断大敵とはこのこと、犯人を憎むより反省しきりである。確かにマドリッドの治安は以前より悪化しているようだが、事件の根本は私個人の油断が問題であった。“自分の身は自分で守る”、という大原則を再度、肝に銘じ、これからのスペイン生活をエンジョイしていきたいと思う。

アマポーラの道標

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