生まれて初めての手術

 3月7日にヘルニア治療のため4ヶ月ぶりに帰国した。治療事由というトホホの気分ではあったが、久々に家族と会える明るい気分も混じって南行徳の我が家へ辿り着いた。が、数日後に起きた目を覆うようなマドリッドでの悲惨な列車爆破テロは、帰国後のトホホ気分や手術の不安な気持ちを吹き飛ばすのに十分過ぎるほどのショックを私に与えた。犠牲者のご冥福を心よりお祈りする。

帰国した翌朝早速、スペインでの診断証 (英語訳) を片手に、自宅から徒歩20分程度のところにある市民病院へ出向き診察を受けた。結果は、スペインでの診察結果と同じ "鼠径 (そけい) ヘルニア" と診断された。入院は、きしくも私の第52回目の誕生日である3月15日に指定され、救急状態に陥らない限り手術は翌日、3月16日に実施する運びとなった。

手術は90分程度で順調に終わった。当初は下半身麻酔を施す予定であったが、普段からの酒飲が祟った所為であろうか麻酔の効きが悪く?、全身麻酔での手術となった。手術の内容は、再び腸が突出 (脱腸) しないよう穴の空いた腹壁を外側と内側からメッシュで覆い、さらにその周囲をも補強するというものだ。数年前までは、穴の開いた腹壁の筋肉部分を引っ張り縫い合わせたらしいが、この手法は術後、若干筋肉がひきつる等の短所があったそうな。現在の医学では薄く丈夫なメッシュで穴を覆うという方式が主流であるとのこと。そう言われれば若干、違和感を覚えるが、まっ、その内慣れるのであろう。

ここからの内容は、男性にしかその感覚を想い描くことができないかも知れない。退院後、自宅の風呂場で驚いたことがある。それは、ナント!、左右の陰嚢の大きさがバランス良く同じであることに気が付いた。至極当たり前のことではある。私の場合、腸の一部が右陰嚢にまで達する状態が慢性化していたため、左右のバランスを欠く光景がしばしば露呈していた、と思われる。今回の手術では、それぞれ左右の袋に収められるべきモノはそのまま、腸などの内臓物の侵入を遮断するという効果が産み出された。その結果、暫くお目にかかることのなかった左右対称のバランス良い "自身" を再確認することができた。

大きなお世話かもしれないが、風呂場もしくは確認できる適当な場所では左右のバランスをよく観察し診断してみることをお勧めする。もし、どちらか (右の傾向大) が膨張気味で手で押して膨らみが腹内に収まったり、再度膨らむようであればこの手の病を疑ってみる必要があるかも知れない。

私の気の所為とは思うが術後、バランス良く "真っ直ぐ歩ける" ようになった。

アマポーラの道標 

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