師走の事件

 昨年末同様、師走に入って間もなく、マドリッド周辺の高速道路沿い 4 箇所で年末恒例の ETA による場所・時刻指定付きの爆弾テロが発生した。緊急出動した Guardia Civil (治安警備隊) の交通規制で幸いにも事故を未然に防ぐことができ、怪我人も出なかった。ETA の “仕事納め” を確認することができたので、これで漸く一安心だ。尤も、年が明ければ仕事始めでテロが再開される訳だが、師走中のどこかで起こってくれないと落ち着いて年は越せない。

テロが発生した日は 6 日の憲法記念祝日で時刻は 14:00 頃であった。爆弾が仕掛けられた 4 箇所の内 1 箇所は、M-40 と呼ばれる片側 3 車線の環状高速道路沿いで、ナント!FESA 事務所とは目と鼻の先であった。この事件を知ったきっかけは、自宅で TV を見ていたら偶然にもテロのニュースが流れ出し、TV カメラが事件現場と FESA 事務所を写し始めたからだ。

思わず、TV 画面に見入ってしまった。場所は M-40 を横切る高架橋の真下で、通勤の際には同橋を通過する場所である。幸いにも爆発規模が大きく無かったため、道路や高架橋の損傷は免れた模様だ。車通行は大丈夫だろうか?と一瞬、不安が脳裏をかすめた。明日朝の出勤前までに被害程度を実際にこの目で見ておこうと思い、徒歩で現場へ赴いた、が、その場は既に実況見分された後で野次馬の姿も見えず、何事も無かったかのように平常に戻っていた。

爆発音は聞こえなかった。自宅から僅か数キロ足らずの現場だ。前回の駐在では旧 FESA 事務所で夜間就労中、近所の陸軍宿舎が標的となり突然、大爆発音が耳をつんざき、思わず椅子から転げ落ちそうになった経験がある。本当の被害者になってしまっては洒落にならない。再度、自分の身は自分で守る、ということを充分肝に銘じておこう。

この国の爆弾テロは日常茶飯事で、どうやら人々のテロに対する感覚は完璧に麻痺している模様だ。外国人の私でさえ “またか“、の一言で驚かなくなってきているのだから。

24 December 2005
アマポーラの道標
 












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