一難去ってまた一難

 3月16日に手術を終えてから2ヶ月弱が経過した。かなりの間、咳やくしゃみ、笑う際等には右下腹周辺を気遣ってきたが、最近漸くそれ程意識をせずに行えるようになってきた。また、朝夕の日課である例のNHKラジオ体操も再開して約2週間が経つ。これに伴い、これまで動きをセーブしていた右下腹部分の筋肉が通常どうりに稼動し始めたため、その周辺や足の付根・太もも等が時々しびれている。体重は3kg程度減り下腹が引き締まってきた。これらは果たして、健康な身体へ戻る際の一里塚であろうか。

 スペインの北西部に Santiago de Compostela という街がある。ここにはキリストの弟子、ヤコブが祭られた壮大な教会があり、欧州は勿論、世界中からスペイン巡礼の旅として多くの人々が訪れてくる。今年の旅は4年に一度巡ってくる特別な年らしい。私も、スペイン人スタッフと共に6月頃に自転車で巡礼する手筈で予てから計画を立てていたのであるが、この病み上がりの体調では旅の途中、相棒に迷惑をかけるのが関の山であろうと判断し、非常に残念ではあるが今夏はこの旅を断念した。今のところ、先ずは普通の健康的なスペインでの独身生活がおくれるよう、体調の回復に専念していくつもりである。

 という訳で、漸くスペインでの落ち着いた生活を取り戻せてきたかと安心し始めた頃、『オイオイ、今度は何んだよー 』、私の住む5階建てピソ (日本で言うマンション) の住民らからデベロッパに対する訴訟問題が起き上がった。ッタクもう、いい加減に勘弁してくれよー、と願いつつ拙いスペイン語で自治会での情報を収集してみた。それによると、特に最上階と最下階で水漏れや壁の染み、床板の剥がれ等が発生しており、これらは明らかに建設業者の手抜き工事が原因なので訴訟を起こした、とのことである。どうやら日本でもよく耳にする欠陥マンションのようである。幸い、私の住居は今のところそのような問題は無く普通の生活をしているが、私の任期終了までなんとか持ち応えてもらいたいものである。尤も、私は借家人なので何か問題があれば、大家に対して窮状を訴えることになる。本件、私に降りかかる火の粉は一切無しのまま、何も無く穏便に通りすぎるよう願うのみである。神様ー!仏様ー!

 5月に入ったものの少々冷える日々が続いているが、当地マドリッドでは日増しに日照時間が伸びており、21:30を回らないと夕暮れは訪れて来ない。夏至に向けては、さらに遅くまでけだるい陽が一部窓から射し込まれるのであろう。自然が放つ光と影の中に、スペインでの一人生身の生活を感じる季節がもうそこまでやって来ている。


アマポーラの道標 

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